夢を叶えた男
大阪市中央区には御堂筋と言う大きな道路がございます。北から南へと巨大な道路が一方通行で流れており、対向車の無い道です。
大阪を代表する道路であり、その御堂筋沿いに面したビルの1階に入っている店舗は、そうそうたるものであります。
女性が憧れる高級ブランドや、一度は耳にした事がある会社やお店。さぞかしお家賃もビックリするぐらいのお値段なのでしょう。
わたくし、その中の1店舗のショーウインドウを「ポケ〜」っと覗いておりました。
まあ、買えないけど見るぐらいいいやん。
減るもんじゃ無いし、下品に見ないように気を付けてお店に迷惑掛けない様に見てたから良いですよね?
この御堂筋。ある一角がスーパーカーのディーラーが並ぶエリアになっておりまして、
「マクラーレン」
「ランボルギーニ」
「フェラーリ」
等が並んでいました。
わたくしは、「フェラーリ」のショーウインドウをジーっと眺めていたのです。
う〜ん‥ いくらなんだこれは?
4台くらい居ましたね。赤いのと黒いのが。
すると‥
なんか中で不穏な動きが‥ (・・;)
受け付けに居たお兄さんがこっち来た!
「おいおい 見るくらいいいだろ!? いや、見せる為にガラス張りの壁で中に車置いてるんやから良いやん!」
わたくしは焦りました。( ゚д゚)
兄さん「お客様、どうぞ店内へお入り下さい。」
えーっ!!?
わたくしが「フェラーリ」の店内にー!?
「拝啓、父さん。
九州の片田舎から出てきた僕が、今フェラーリのディーラーに来ています。
大阪と言うのは怖い街で、家が建てれるくらいのオモチャを普通に売ってるわけで。
それは、近所のおばあちゃんが駄菓子を売ってた僕の実家近くとは全然金額が違うわけで」
なぜか北の国からのシーンが頭の中でリンクしてました。
スーパーカーってのはオーラがありました。デカく感じた。
店員さん優しかった。若くて男前の好青年だった。
いや〜 わたくし夢を叶えましたね。
お店のお兄さんが見込み客と間違えたか暇潰しなのかわかりませんが、わたくしにフェラーリの良さを詳しくお話頂いて、購入までの道筋を長々とご説明してくれました。
フェラーリを見ながら話を聞いていたので
なんかもうフェラーリ買った気分になってしまいました。お金払わず所有者になったって凄いお得!
しかしねぇ、2500万って言われてもピンと来る方が少ないでしょ。
「わたくし中古車で25万円のハコバン買うのでも悩んでますよ」ってお兄さんの肩をたたいてニッコリ微笑みたかった。
いや、
でも今日は夢を叶えたんです。
わたくしはフェラーリを買った気分になった。視覚では本物を見て、聴覚では本物の接客を受けてリアリティ抜群だった!
いろんな説明を受けたが、これしか覚えていない!
赤!
デカイ!
2500万!
お兄さんごめん。
買える訳ねーよ